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この記事は、筆者がレオパを繁殖させた経験談ではありません。海外の品種データベース(MorphMarketのMorphpedia)、研究論文、飼育解説、百科事典に書かれていることを整理したものです。値段はお店や時期で大きく変わるので、この記事では載せていません。出典は末尾にまとめています。
ショップでレオパ(ヒョウモントカゲモドキ)を見ていると、「スーパーマックスノー」「エクリプス」「タンジェリン」など、たくさんの品種名(モルフ)が並んでいます。名前だけでは、どんな見た目なのか、何が違うのか分かりにくいと思います。
この記事では、よく見かけるモルフを「目」「色」「模様」で分けて、それぞれの遺伝のしかたと、迎える前に知っておきたい健康上の注意を整理します。
そもそもレオパはどんな生きもの?
| 項目 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| すんでいる所 | アフガニスタン・イラン・パキスタン・インド・ネパールの、岩の多い乾いた草原や砂漠(Wikipedia) |
| 野生の色 | 黄色〜茶色がかったオレンジの地に、背中じゅうに黒い点。飼われている個体より色はくすんでいる(Wikipedia) |
| 大きさ | 生まれたとき7〜10cm・2〜5g。大人のメス18〜20cm・50〜70g、オス20〜28cm・60〜80g(Wikipedia) |
| 寿命 | 野生で平均約4.9年。飼育下では、きちんと世話をすれば20年以上(Wikipedia) |
「モルフ」とは、飼育下で繁殖を重ねるなかで生まれた、色や模様の違う系統のことです(Wikipedia)。20年以上生きることもあるので、見た目だけでなく長く世話を続けられるかも考えて選びたいところです。
モルフの遺伝のしかた:4つの型
同じように見える個体でも、遺伝のしかたが違うと、親から子への伝わり方が変わります。MorphMarketの品種データベース(Morphpedia)では、モルフを次のような型に分けています。
| 型 | しくみ | 例(Morphpediaの分類) |
|---|---|---|
| 劣性(Recessive) | 父と母の両方から同じ遺伝子を受け取ったときだけ、見た目に出る。1つだけ持っている個体(ヘテロ)は見た目が普通 | アルビノ3系統(トレンパー・ベル・レインウォーター)、ブリザード、マーフィーパターンレス、エクリプス、マーブルアイ |
| 不完全優性(Incomplete Dominant) | 1つ持つだけで見た目に出る。2つ持つと、さらに強く出る「スーパー」になる | マックスノー(2つでスーパーマックスノー)、レモンフロスト |
| 優性(Dominant) | 1つ持つだけで見た目に出る。1つでも2つでも見た目では区別できない | エニグマ、ホワイト&イエロー |
| 選んで固定した系統(Polygenic・線育種) | 1つの遺伝子ではなく、色や模様のよい個体どうしを選んで掛け合わせ続けてつくった系統 | ハイイエロー、タンジェリン、ジャングル、ボールドストライプ、リバースストライプ |
型の分け方には、はっきりしない品種もあります。たとえばホワイト&イエローは、Morphpediaでは「優性」に分類されていますが、同じページに引用されている解説では、選んで固定した系統の性質も持ち、よい個体どうしを掛け合わせないと特徴が大きく薄れると書かれています。
目で見分ける
ノーマルアイ
野生の個体と同じ目です。ブリザードやマーフィーパターンレスのように、体の色が変わるモルフでも、目はふつうの色のことが多いとされています(Morphpedia)。
エクリプス(劣性)
目全体が1色に覆われ、瞳と虹彩の区別がつかない目になる遺伝子です(Morphpedia)。アルビノと組み合わさると、透き通った赤一色の目になることがあります。
ただし見分けは簡単ではありません。エクリプスの遺伝子を2つ持っていても、目が全部染まらず半分だけ色がつく個体(スネークアイと呼ばれる)や、ふつうの目に見える個体もいます。生まれたときは全部染まっていても、あとから変わることもあると書かれています(Morphpedia)。目だけで遺伝子を決めつけず、親の情報も確かめてください。
ラプター(RAPTOR)とエクリプスの関係
エクリプスは、アルビノなどと組み合わせた「ラプター」という品種として最初に売り出されました。そのため「赤い目=ラプター」と思われがちですが、エクリプスはラプターをつくる要素の1つで、別の遺伝子です。ふつうの体色で目だけ真っ黒、というエクリプスもつくれます(Morphpedia)。
色で見分ける
アルビノ(劣性・3系統)
レオパのアルビノは、黒い色素(メラニン)をほとんどつくらないタイプで、黄色・オレンジ・茶色は残ります(Morphpedia)。トレンパー、ベル、レインウォーターの3系統があり、見た目はよく似ていて、目で見て100%見分けることはできないとされています。
大事なのは、違う系統どうしを掛け合わせると、子はアルビノにならないことです(Morphpedia)。繁殖を考えるなら、どの系統かを必ずお店に確かめてください。
また、トレンパーアルビノには、注意点として「光をまぶしがる(光線過敏)」と書かれています(Morphpedia)。強い光が当たりっぱなしにならないよう、隠れ家を置いておくと安心です。
マックスノーとスーパーマックスノー(不完全優性)
マックスノーは、子どものころ、ふつうは黄色い帯の部分が白い帯になって生まれます。大人になると黄色が薄くなり、淡い黄色の地色になります(Morphpedia)。マックスノーどうしを掛け合わせると、遺伝子を2つ持つスーパーマックスノーが生まれます。
Morphpediaには、レオパの多くは卵を温める温度でオスメスの割合が変わるのに対し、マックスノーではそれがはっきり確かめられていない、という注意も書かれています。
ハイイエロー・タンジェリン(選んで固定した系統)
タンジェリンは、尾の付け根より前(胴や頭)にオレンジ色がある個体を指します。オレンジの濃さや量で呼び名が変わり、赤に近い個体もつくられています(Morphpedia)。どちらも1つの遺伝子ではなく選んで固定した系統なので、同じ名前でも色の出方は個体によって違います。
模様で見分ける
ブリザード(劣性)
生まれたときから模様がまったくない品種です。色は白・黄色・濃い紫まで幅があり、成長とともにその範囲で変わることが多いとされています(Morphpedia)。黄色っぽい個体が「バナナブリザード」として売られることがありますが、本来はマーフィーパターンレスとブリザードの両方を持つ個体を指す名前だと書かれています。
マーフィーパターンレス(劣性)
1991年にパット・マーフィーさんが最初につくった、模様のなくなる品種です(Morphpedia)。生まれたときは薄い体に茶色や灰色の模様がありますが、生後10か月ごろまでに模様は消え、体の色は黄色〜濃い紫になります。ブリザードとは別の遺伝子です。
ジャングル・ボールドストライプ・リバースストライプ(選んで固定した系統)
模様の形を選んで固定した系統です(Morphpedia)。1つの遺伝子で決まるものではないので、同じ名前でも模様の出方は個体ごとにかなり違います。
迎える前に知っておきたい健康上の注意
エニグマ:「エニグマ症候群」
エニグマは2006年に最初に生まれた、優性のモルフです(Morphpedia)。エニグマには、体のバランスや姿勢に影響する神経の病気「エニグマ症候群」が結びついていることが知られています。
- 症状:首をかしげる、上を見上げる、ぐるぐる回る、餌をうまく捕まえられない、ひっくり返る、けいれんなど(ReptiFiles)。
- 重さ:個体の遺伝子と、まわりの環境によって違う(Morphpedia)。重い個体は、一生、手で餌を与える必要があることもある(ReptiFiles)。
- 治療:治す方法はなく、同居の相手や触る回数を減らすなど、ストレスを減らす対応になる(ReptiFiles)。ストレスで症状が出やすいので、1匹で飼うよう勧められている(Morphpedia)。
MorphMarketでは、現在エニグマの販売を扱っていません(Morphpedia)。エニグマの遺伝子を持つ個体を迎えるときは、動きにふらつきや回る様子がないか、よく見てからにしてください。
レモンフロスト:白い腫瘍
レモンフロストは、白い部分が増え、黄色やオレンジが明るくなるモルフです。2021年の研究(Guo ほか、PLoS Genetics)では、レモンフロストの遺伝子を持つ個体の80%以上が、生後6か月〜5年のあいだに皮膚に白い腫瘍(イリドフォローマ)ができていました。遺伝子を2つ持つ「スーパーレモンフロスト」ほど重く、腫瘍が肝臓や口の中などに広がることもあったとされています。
原因の候補として、がんを抑える働きのある遺伝子(SPINT1)が見つかっていますが、原因だと確定したわけではありません(Guo ほか 2021)。
モルフが違っても、飼い方の基本は同じ
モルフは色や模様の違いなので、必要な温度や餌など、飼い方の基本は変わりません。ただし、ここまで書いたように、アルビノ(光をまぶしがる)、エニグマ(神経の病気)、レモンフロスト(腫瘍)など、モルフによって気をつけたい点はあります。迎える前に、選んだモルフの注意点と、親の系統をお店に確かめておくと安心です。
まとめ:モルフ選びで確かめること
- モルフは、飼育下の繁殖で生まれた色や模様の系統。レオパは20年以上生きることもある。
- 遺伝のしかたは、劣性・不完全優性・優性・選んで固定した系統の4つに分けると分かりやすい。
- エクリプスは目全体が1色になる劣性の遺伝子。目だけで遺伝子を決めつけない。
- アルビノは3系統あり、違う系統どうしでは子がアルビノにならない。トレンパーは光をまぶしがるとされる。
- マックスノーは不完全優性。2つ持つとスーパーマックスノー。
- ブリザードとマーフィーパターンレスは、どちらも模様がなくなる劣性の品種だが、別の遺伝子。
- エニグマはエニグマ症候群(神経の病気)、レモンフロストは白い腫瘍が知られている。迎える前に必ず確かめる。
参考資料
- MorphMarket「Morphpedia:Leopard Geckos」(英語)(各モルフの遺伝の型・最初に生まれた年・見た目・注意点。エクリプス、ブリザード、マーフィーパターンレス、マックスノー、エニグマ、アルビノ〔トレンパー〕、タンジェリン、ホワイト&イエローの各ページ)
- Guo L ほか(2021)「Genetics of white color and iridophoroma in "Lemon Frost" leopard geckos」PLoS Genetics 17(6): e1009580(英語)(レモンフロストの遺伝のしかた・腫瘍・SPINT1)
- ReptiFiles「Leopard Gecko Enigma Syndrome」(英語)(エニグマ症候群の症状と対応)
- Wikipedia「Common leopard gecko」(英語)(すんでいる所・野生の色・大きさ・寿命・モルフ)
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