コオロギの繁殖スピードと成長サイクル完全ガイド|卵から成虫まで徹底解説

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この記事は、筆者がコオロギを繁殖させた経験談ではありません。コオロギの発育と温度を調べた研究論文と、百科事典の記述をもとに整理したものです。研究の数字は、温度を一定に保った実験室で測ったものです。家庭のケースでは同じにならないので、目安として読んでください。出典は末尾にまとめています。

爬虫類や両生類の餌にコオロギを使っていると、「自分で増やせないか」「卵から何日で使える大きさになるのか」が気になってくると思います。

結論から言うと、コオロギが育つ速さは温度でほとんど決まります。フタホシコオロギの研究では、20℃では卵から成虫まで200日以上かかったのに対し、32℃では約33日でした。この記事では、その数字をもとに「何℃で、何日で、どれだけ増えるか」と、繁殖のときに気をつけたい点を整理します。

餌に使われる2種類:フタホシコオロギとイエコ

爬虫類の餌として売られているコオロギは、主に次の2種類です。

  • フタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus):はねの付け根に2つの点があるのが名前の由来です。土や砂の湿った所に卵を産み、長い期間寒さにさらさなくても一生を終えられるので、飼いやすいとされています(Wikipedia)。
  • ヨーロッパイエコオロギ(イエコ・Acheta domesticus):大人は体長16〜21mmほどで、灰色〜茶色。1950〜2000年のあいだに、ペットや研究用の餌の定番になりました(Wikipedia)。

2種類を同じ条件で比べた研究では、卵がかえり始めるまでの日数はフタホシのほうが短く、平均で約9.5日、イエコは約13.7日でした(Mitchaothai ほか 2024)。

温度と育つ速さ:卵から成虫まで何日?

フタホシコオロギを7つの温度で育てた研究の結果です(Magara ほか 2024)。湿度70%前後、1日12時間明るくした実験室で、幼虫は共食いを防ぐため1匹ずつ育てています。

温度 卵の期間 幼虫の期間 卵から成虫まで(合計)
20℃ 約34日 約182日 約216日
25℃ 約14日 約68日 約82日
27℃ 約10日 約54日 約64日
30℃ 約7日 約37日 約44日
32℃ 約6日 約27日 約33日
35℃ 約6日 約34日 約40日
37℃ 約6日 約34日 約40日
40℃ 卵がかえらず、育たなかった

(合計は論文の表の卵と幼虫の日数を足して丸めたもの)

いちばん早く育ち、死ぬ数も少なかったのは32℃でした。32℃を超えると早くはならず、37℃までは一生を終えられましたが、40℃では育ちませんでした。同じ研究では、卵と幼虫が育ち始める下限の温度を約16℃(卵15.9℃・幼虫16.2℃)と見積もっています。

別の研究(Odhiambo ほか 2022)でも傾向は同じです。

  • イエコ:卵から成虫まで、18℃で約200日、30℃で約66日。
  • フタホシ:18℃で約232日、34℃で約62日。
  • 育つのに向いた温度は、2種類とも26〜34℃。

百科事典にも、イエコは26〜32℃で2〜3か月かけて一生を終えると書かれています(Wikipedia)。

研究によって日数に差はありますが、どれも「25℃を下回ると急に遅くなる」「30℃前後がいちばん早い」点は共通です。日本の冬の部屋は20℃を下回ることが多いので、冬も繁殖を続けるなら保温が欠かせません。温度は感覚に頼らず、温度計で測ってください。

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どれだけ増える? 産卵数の目安

メス1匹が一生のあいだに産んだ卵の数も、温度で大きく変わりました。

研究 種類 いちばん多かった温度と卵の数 いちばん少なかった温度と卵の数
Odhiambo ほか 2022 イエコ 26℃で約1,360個 18℃で約100個
Odhiambo ほか 2022 フタホシ 30℃で約1,720個 18℃で約120個
Magara ほか 2024 フタホシ 32℃で約2,300個 -

実験室の数字なので、家庭で同じだけ増えるわけではありません。それでも、寒いと産む数そのものが10分の1以下に減ることは分かります。「増えない」と感じたら、まず温度を確かめるのが近道です。

卵をかえす:温度は30℃前後、湿度は70%前後

卵がかえる条件を細かく調べた研究があります(Mitchaothai ほか 2024)。湿度70%で、温度を23〜33℃に変えたときの「かえり始めるまでの日数」は次のとおりです。

温度 フタホシ イエコ
23℃ 13日 18日
25℃ 12日 16日
27℃ 約9日 約15日
29℃ 9日 約15日
30℃ 8日 11日
31℃ 約8日 10日
32℃ 約9日 約12日
33℃ 7日 11日

同じ論文の別の回の実験で、温度と湿度の組み合わせも比べています(回が違うので、日数は上の表と少しずれます)。その結果、フタホシは31℃・湿度70%がいちばんよく、6日でかえり始め、約80%がかえりました。湿度を65%や75%にすると、かえる割合は64〜69%に下がっています。イエコは30℃がよく、湿度65〜75%で12日でかえり始め、66〜77%がかえりました。

この研究では、メスにヤシガラ(ココナツの繊維)に卵を産ませ、取り出した卵を、湿らせた紙を敷いた透明な箱でかえしています。もう一つの研究(Magara ほか 2024)では、湿らせた綿の玉(直径約5cm)を産卵用に入れています。どちらも「湿っているけれど水びたしではない」場所に卵を産ませている点が共通です。卵は湿った土や砂などに産みつけられます(Wikipedia)。

産卵用の容器のポイント

  • 中身:湿らせたヤシガラ土や綿など。乾くとメスが産まなくなったり、卵がかえりにくくなったりするので、乾いてきたら霧吹きで湿らせます。
  • 深さ:メスは長い産卵管を差し込んで卵を産みます。産卵管が届く深さにしておきます。
  • 取り出したら別の容器で:卵を産ませた容器ごと取り出し、温度と湿度を保てる場所でかえすと、生まれた幼虫を親と分けておけます。

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オスとメスの見分け方

大人のメスは、お尻の真ん中から黒っぽい針のような産卵管が伸びています(Wikipedia)。オスには産卵管がありません。イエコの場合、産卵管の長さは、お尻の左右にある2本の突起(尾毛)と同じくらいです。

はねがまだない幼虫のうちは見分けにくいので、大人になってから分けると確実です。

育てるときに気をつけたいこと

水で溺れさせない

研究では、水はスポンジのような素材を入れた浅い皿で与え、溺れずに飲めるようにしています(Magara ほか 2024)。特に生まれたばかりの小さな幼虫は、水入れに落ちると出られません。水入れには必ずスポンジなどを入れてください。

共食いを減らす

研究では、共食いを防ぐために幼虫を1匹ずつ育てています(Magara ほか 2024)。家庭でそこまでするのは難しいので、少なくとも大きさの違う群れは別のケースに分けておきます。卵を産ませた容器を時期ごとに分けてかえせば、自然と大きさのそろった群れになります。

餌

Magara ほか(2024)は、小麦のふすま・トウモロコシのふすま・大豆かす・カボチャの葉の粉・魚粉を同じ量ずつ混ぜた餌を、食べたいだけ与えています。家庭では市販のコオロギ用フードを使うと手軽です。食べ残しや死んだ個体は、カビやにおいの元になるので取り除きます。

暑すぎにも注意

前の表のとおり、35〜37℃では32℃より育つのが遅くなり、40℃では育ちませんでした(Magara ほか 2024)。大人の寿命も、30℃ではメス約62日・オス約64日だったのが、37℃ではメス約33日・オス約30日と短くなっています。夏に閉め切った部屋や直射日光の当たる場所に置くと、ケースの中はすぐに暑くなります。保温器具を使うときは、温度を自動で切り替えるサーモスタットをつなぐと、暑くなりすぎるのを防げます。

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いつも使える大きさをそろえるには

1つの群れだけを育てていると、全部が同じ時期に大きくなり、小さいサイズが欲しいときに手元にない、ということが起こります。そこで、産卵用の容器を一定の間隔で入れ替え、取り出した容器を日付ごとに分けてかえしていくと、大きさの違う群れが順番にできます。

たとえば30℃前後なら、フタホシは卵から成虫までがおよそ1か月半です(Magara ほか 2024)。2週間ごとに産卵用の容器を入れ替えれば、計算のうえでは、いつも3段階ほどの大きさの群れが手元にあることになります。1週間ごとなら、もっと細かく分かれます。容器には入れ替えた日付を書いておくと、何日目の群れかがすぐ分かります。

まとめ:コオロギの繁殖で確かめること

  • 育つ速さは温度で決まる。フタホシは20℃で卵から成虫まで約216日、30℃で約44日、32℃で約33日(実験室の数字)。
  • 向いている温度は26〜34℃。16℃前後より下では育たず、40℃でも育たない。
  • 卵をかえすのは30℃前後・湿度70%前後が目安。フタホシは6〜13日、イエコは10〜18日でかえり始めた。
  • 産む卵の数も温度しだい。寒いと10分の1以下になる。
  • メスはお尻に針のような産卵管がある。
  • 水入れにはスポンジを入れて溺れさせない。大きさの違う群れは分ける。
  • 保温にはサーモスタットをつなぎ、温度計で測る。
  • 産卵用の容器を日付ごとに分けてかえすと、いつも違う大きさの群れがそろう。

参考資料

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